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精神障害者の「戦力的雇用」を促進する

精神障害者の雇用促進は「法定雇用率達成の為の施策」のみでは実現は困難と考えます。


・2018年4月より、精神障害者(精神障害者保健福祉手帳の所持者)を法定雇用率の算定基礎に加えられ、同年の精神障害者雇用者数は、67,395人(前年比:約35%増)と前年より増加し、伸び率が大きかったと厚生労働省「平成30年 障害者雇用状況の集計結果」で発表されています。精神障害者にとっては「企業就職への門戸が広がった」と、前向きに捉えて良いと認識していますが(参照1)[1]、一方、障害者雇用の政策においてこれからの時代に重要なのは、「就職した数」だけではなく、就職後の「定着率(活躍し続けられている状態)」もあわせて増加させること(参照2)[2]であると強く訴求したいと考えています。


・これらの問題は「精神障害者の実態」に、双方(障害当事者と雇用主側)で乖離が生じていることが、一つの要因であると考えており、「どのような仕事ができるのか」「どのようなサポートが必要なのか」「雇用主側がどこまでサポートするべきなのか」など、精神障害者が企業で働き続けるためのノウハウが、雇用主側にほとんど蓄積されていないのが、現状だと認識しています。


・一方、本人達も同様だと理解しており、例えば当社の登録者のうち、約70%を超える精神障害者は(4,000人超)、働く上で自分自身が把握しておく必要のある「障害特性」を、『なんとなく』でしか把握しきれていない。(当社は、この『なんとなく』をデータとして見える化”し、個々の就労プロファイルを作成・活用を促進。)


・採用する前に、障害特性等を把握するための施策のひとつに「トライアル雇用」といったある意味「雇用までの助走期間」としての活用が挙げられますが、これも、企業側にある一定の障害者雇用ノウハウがなければ、有効活用しにくい側面があると考えます。さらに、双方の合意が条件であること、トライアル中のマネジメントコスト、非採用を本人に提示するコミュニケーションコストなど、採用前に「障害特性」や「自社との合理性(相性)」を把握するための潜在的コストが生じることも、有効活用しにくい側面があると考えています。


課題

 精神障害者の雇用を「義務的雇用」から「戦力的雇用」へ転換させるべく、再現性のある雇用モデルを構築すること


企業インセンティブの再設計 /「新・助走期間政策」を実行し、直接雇用を活性化


企業インセンティブの再設計

 法定雇用率未達成企業の納付金金額は現状「一律」であるが、各企業の「従業員数」「実質雇用率」「A型事業所経営の有無(A型も雇用率に算定されている)」「就労継続支援事業所や在宅就業支援団体への業務発注の規模(額)」「特例子会社の有無」など、各企業の実態に応じて納付金金額を設定することを選択肢に含めら必要があると考えます。


 精神障害者の定着支援は、より個々の特性に応じた支援を実行する必要があるが、あわせて「属人的な支援(参照3)[3]ではなく、再現性のある支援」を実行させる必要があるとも考えます。現状では、福祉職員、ジョブコーチによる定期訪問による定着支援が実施されているが、精神障害者の定着支援は、より「実務レベル」「日常レベル」で実施されるべきであり、実行案のひとつに、オンラインを活用した定着支援が可能となるよう、制度設計を実行したいと考えます。


「新・助走期間政策」を実行し、直接雇用を活性化


 就労継続支援事業所や在宅就業支援団体への発注額の一部を、納付金に算出することと同時に、業務を受託した事業所(A型事業所等の就労継続支援系事業所)は、一般就労への移行率増加に励むことが、より良い雇用を促進すると考えます。(就職意欲があるが、地域性や事業所経営者の意向により、一般就労に必要な実務スキルの増加や、就職までの支援が十分に受けられていない。)※就労移行支援事業所との連携有無も、重要だと認識しています。


 トライアル雇用の前に、「業務発注(BPOやアウトソーシング)」を通じて、精神障害者が可能な業務レベル・必要な配慮・適切な働き方(短時間就労等)を、実務をもって把握することが可能なだけでなく、人事担当者は当然のこと、就職した後により関わりが深まる事業部担当者も、精神障害者への理解を深めることが可能となります。(業務の切り出しや、新たに創出する時間も生まれる)


 企業、就労継続支援事業所等に所属していない精神障害者の「就労機会(企業就職への道を含む)」の拡充も課題です。在宅を通じて実務経験を積み、自身の体調管理の自立度を高める機会を創出するために、民間企業と連携した取り組みが必要不可欠と考えます。但し、実務経験無くして、かつ、就業経験の実態値を無くして、単に在宅雇用を増加させる施策は、「障害者雇用の放棄(数合わせの雇用)」に繋がる懸念もあるため、発注する業務内容、金額データのエビデンスを蓄積し、かつ当エビデンスにあわせたインセンティブ設計(前述)も同時に実現していくべきと考えています。


(参照)

[参照1] 精神障害者雇用者数が過去最高で増加している一方、日本の精神障害者数も同様に年々増加しており、平成26年度の361.3万人から、平成30年度「392.4万人」と、約30万人(約8%)が増加。また、精神障害者数の内、働き世代とも言える「18〜64歳」の割合は、全体の約56%と、身体障害者の「18〜64歳」の割合約80%と比較すると、精神障害者の労働政策を”急務”として実行するべきと認識しています。


[参照2] 障害者を含む常用労働者全体の1年間の平均離職率は14~17%(定着率:83〜86%)程度。一方、障害者の就職1年後の定着率は「身体障害者:60.8%/知的障害者:68%/精神障害者:49.3%」であり、特に精神障害者の職場定着率の改革を早期に進めるべきと考えています。


[参照3] 企業そして精神障害者による「支援者の選択肢」があまりにも少なく、また企業が精神障害者に任せる業務レベルを、支援者が十分に把握しきれない構造も、改革するべき要素であると考えています。

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